平和の地政学―アメリカ世界戦略の原点
「平和の地政学―アメリカ世界戦略の原点」のレビュー・感想

【自由と繁栄の弧の原点であり、一部捏造された注意すべき一冊】
スパイクマン(発音はスピークマンに近いらしい)は戦後アメリカの対ソ連封じ込め政策、その後の世界戦略に大きな影響を与えた地政学者として知られる。その思想は、マッキンダーのランドパワー対シーパワーの図式を発展させ、両者に挟まれたリムランドを押さえることの重要性を説いたものである。
麻生太郎元外相が目指したのは、この不安定なリムランドを安定化し、自由と繁栄の孤とする戦略だった。ウラジオから朝鮮半島、支那沿岸部、台湾、インドシナ半島、ミャンマー、インド、パキスタン、イラン、イラク、サウジア...

【スパイクマンの地政学】
本書は地政学者として知られるスパイクマンの生前(第二次世界大戦中)の論考を1冊にまとめたものです。
スパイクマンの残した資料をもとに編纂されているためか要領よくまとまっています。
大戦中の考えということもあり今から見ると間違った記述もありますが、ユーラシア大陸にある大国がアメリカの脅威になるという
後のソ連”封じ込め”を予感させる洞察など鋭い戦術論が展開されており大変刺激的な一冊です。

【第二次世界大戦中の「アメリカの危機感」】
本書はスパイクマンの死後に残された講義用のノート
やスライド、他の知識人たちとの手紙のやりとりの内容など
を元にしてつくられた。
どういう地図が地政学を語るに適しているか、という話が
書かれている点からもいかに本書が実際的かがわかるだろう。
図版(地図が51も掲載されている!)も豊富で飽きない。
人口密度の分布と降水量の地図を比較した考察が出てくるが、
水資源が死活的に重要になっている現在、この視点は重要であろう。
温暖化進行による北極圏...

【戦略学の必読文献】
昔から優れた戦略的思考をする軍人や戦略家は地政学的思考をしてきたものだ。ナポレオン、モルトケにしても然りである。しかしそれが地政学というはっきりとした名前の学問として登場してきたのはそう古いことではない。20世紀になってからといってよい。軍事学、戦略学に造詣深い人たちには身近な、「ハートランド」あるいは「リムランド」といった魅惑的なタームが使われるようになったのも20世紀からである。
本書はそういった地理的概念から国家の意志や行動がもたらされるということを主張したニコラス・スパイクマンに...
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