The Grand Chessboard: American Primacy And Its Geostrategic Imperatives
「The Grand Chessboard: American Primacy And Its Geostrategic Imperatives」のレビュー・感想

【予想できる結論】
「アメリカの覇権維持のための」地政学的分析である。著者の主張は「結論」の太字部分にはっきりと要約されている。つまり、アメリカ外交の基本は、ユーラシアを多元化させ力を持つ地域大国の台頭を防ぐことでアメリカの覇権を維持することだ、ということが本書の分析の目的かつ結論ということになる。そのためには「日本から米軍は撤退すべきではない」と著者は結論づける。
本書から学ぶべきことは、ブレジンスキーのようなタカ派ではない中道の政治学者ですらアメリカ一国の利益を第一に考えて議論を進めているということだ...

【アメリカの国益とユーラシアの地政学】
かつてナポレオンは、一国の地理を把握すればその国の外交政策が理解できる、と語ったとされているが、今世紀の地政学はより複雑で予測が非常に困難である。本書は明日を担う学生向けに著された地政学の入門書であるが、ユーラシアにおけるアメリカの地政戦略をチェス盤におけるゲームに喩え、国益を重視する世界覇権国・アメリカに対して不信感を抱かずにいられない。
冒頭部分のイラク戦争直前に行われたインタビューに象徴されるように、著者は極力憶測を回避している。しかし、「(アメリカ)国内の繁栄が突然脅かされるか、挑戦...

【「ウィーク・ジャパン派」の世界観を探る】
本書は、アメリカを代表する戦略思想家の一人が、「アメリカの優越と地政学的課題」を、「学生諸君に明日の世界を築くための一助として」、97年に記した書の文庫版である。
著者の主張を端的に言えば、「世界で唯一の覇権国になった」アメリカは、「世界政治の中心舞台」たるユーラシア全体を対象とする総合的で長期的な統合地政戦略を確立し、実行すべきであるということである。では、アメリカはユーラシアという「壮大なるチェス盤」の上でどう行動すべきなのか。
紙面の都合上、東アジア国際秩序についてのみ紹介する...

【アメリカの国家意思を伺う手がかりとなる】
カーター政権の国家安全保障担当大統領補佐官を務めた著者による国家観は、イラク戦争の始まった今(2003年3月)、非常に示唆に富む見方として読み直すことができる。アメリカを人類史上最初で最後の「世界覇権国」として位置づけ、その正当性を説きながらも今後起こり得る危機の数々を想定している。イラク攻撃に至るまでの欧州の反抗、北朝鮮情勢、アフガンでのテロ報復戦争などを経た今、97年時点でアメリカの中枢の外交論客が語った危機の可能性は極めて予言的である。他方、ロシアに関してはプーチン大統領が当時の最善のシナ...
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